2009年 04月 17日
原田知世とEdge of Sanityを同じ感覚で聴いている人が、果たして日本に何人いるのか分かりませんが、とにかく今回の主人公はEdge of Sanityです。 1994年のメロデス勃興に大きく寄与したEdge of Sanity…というか、Dan Swanoとこのアルバムは、大袈裟でなく、この後のエクストリーム・ミュージックに多大な影響を与えた超重要な一枚なのです! ■Edge of Sanity / Purgatory Afterglow 80年代のLAメタルに代表されるように、HMって実はそんなにへヴィでもメタルでもないんですよね。 で、硬派な方々が「とにかく速くてへヴィな音楽を!」と、アンチテーゼとしてデスメタルは生まれてきたと思うのですが、如何せん音楽としての起伏に乏しく、また何だか知らないけど音質が悪いほどカッコいいみたいな風潮もあったりで、アンダーグラウンドから脱却できぬままに時は過ぎていたのですが、そこにメロディックなリフとソロを持ち込む、という一大発明がなされました。そうして生まれたのが、Melodic Death Metal、略してメロデスです。 メロデスが世界的な広がりを見せたのは、94年に今回取り上げるEdge of Sanityや、Dissection、In Flames、Dark Tranquillity、Amorphisなどなどが、一般メタルリスナーにも(主に音質面で)耐えうる作品を発表したのが契機かと思います。(Burrn!でも、この年にメロデス特集が初めて組まれたはず) 当時は「デス声」すら表現手法としてまだ一般的ではなかったので、「デスメタルにメロディックなギターが載って…」云々、活字でメロデスの説明を読んでもいま一つイメージ出来ずにいたのですが、そんな疑問に一発回答を突き付けるのが、「Purgatory Afterglow」の1曲目「Twilight」。 クリーンヴォイスで朗々と歌い上げて始まったかと思ったら一転、メロディックなリフとデス声に突入…と「これぞメロデス」な名曲なのです。 で、この「Twilight」はビデオがないので、同じアルバムからこちらも名曲の「Black Tears」をどうぞ。 曲は最高だけど、ビデオは最低の出来ですね…。 ただ、後にドイツのメタルコア番長Heaven Shall Burnや、Eternal Tears of Sorrowなんかがこの曲をカバーしていることからも、やっぱみんなこのアルバム聴いて影響受けたんだな、って思います。このリフは後世に残りますな。 そしてこのバンド絡みでもう一つ思い出深いのが、先ほどもちらっと書いた94年のB!メロデス特集に載った、Dan Swano(Vo、Gu)のインタビューです。 「なんでこのスタイルになったの?偶然?」という質問に対して、「違う。明確な意思を持ってこのスタイルをやっている」と答えていたのが、物凄く印象に残っています。 その当時、多くのメタルバンドはグランジっぽいスタイルを新しく入れては、浅はかな売れ線狙いになり果てるパターンが多く、さらにインタビューで「グランジっぽい?いやいや偶然だよ!」と嘘っぽいことを言っては消え去っていっており、それだけにDan Swanoの強い意志を含む言葉は本当に印象的だった。 そう考えると、Edge of 「Sanity」なのも意識してのことなのかな、とこれは勝手にですが、思っています。 なんつーか、「Insanity」の方がメタルっぽいじゃないですか?でも「Sanity」としたところに、Dan Swanoのインタビューと同じ「コントロールすることへの強い意志」を感じるというか。 ただ、この「Purgatory Afterglow」が後世にも残るような名盤だっただけに、アルバム1曲40分という実験的な次作「Crimson」を最後に、この時の布陣がバラバラになってしまったのが悔やまれます。 #
by zakiryo
| 2009-04-17 01:56
| Death / Gothic
2009年 04月 15日
今ではネットさえあれば、音源を視聴することも購入することも簡単に出来ますが、僕の高校~大学時代にそんな便利なツールはなく、新しい音を聴くのも、そしてその音源を購入するのも本当に大変でした。 当時の情報源と言えば、TVKで放送されていた伊藤政則の番組やキャプテン和田のFMとかで、特に伊藤政則の番組はビデオに録画して、気にいった曲があれば繰り返し巻き戻しては楽しんでいました。 そんな巻き戻し回数No.1だった曲が、Stone Temple Pilotsの2nd(Purple)に収録されている「Interstate Love Song」です。 ■Stone Temple Pilots / Purple Nirvanaの「Nevermind」を高1の時にリアルタイムで経験した僕ら世代にとっては、Stone Temple PilotsもNirvana同様にグランジの代表格バンドとして認知されていると思います。Paerl Jamとか、Soundgardenとかと同列で。(Stone Temple Pilotsは、ややフォロワー扱いだったかも) って、正直に言うと、バンドやこのアルバムにそれほど強い思い入れがある訳ではなかったりして。(アルバムには、結構タルい曲も多いし…) ただ、とにかく「Interstate Love Song」は飛びぬけて好き。 #
by zakiryo
| 2009-04-15 00:38
| Alternative
2009年 04月 07日
僕が住んでいる北海道も、いよいよ春めいてきました。 で、春っぽい日に聴きたくなるのがこのアルバム。原田知世の「I could be free」です。 ■ 原田知世 / I could be free 女優さんが音楽活動しているのってどこか片手間な印象があったり、特に原田知世の場合はデビュー当時の「時をかける少女」のあまりにもヤバい歌唱力もあったりで、歌い手としての評価が著しく低いような気がしています。 でもね。ちゃんと聴いてみると、これがいいんです。なかでも1997年に発表された「I could be free」は、カタログ中でも1・2を争う佳作。(HMVのレビュー見ると絶賛の嵐です) 97年と言いますと、Cardigansに代表される北欧ポップス全盛期で、「I could be free」も北欧の名プロデューサー、トーレ・ヨハンソンが関わった作品です。 シングルカットされたこの「ロマンス」なんかは、軽やかなリズムに色鮮やかなブラスが乗る、北欧ポップスど真ん中な曲ですね。 あ~春だわ。執拗なまでのVoハーモニーも素晴らしい。 ただ、アルバムを通して聴くと、こういったベタい曲ばかりではなく、タイトルトラック「I could be free」、「LOVE」、「Are You Happy?」、「燃える太陽を抱いて」などなど内省的な楽曲も多く、そのバランスが個人的にとても気に入っていたりします。作詞は本人が手掛けているとのことですが、綴る詞から察するに誠実な人なんだな、って思いますね。歌い手として、もっともっと評価されてほしい。 #
by zakiryo
| 2009-04-07 02:21
| POP
2009年 04月 05日
人々は、喪失や断絶にこそ集う。 多くの人が思春期に知る、人と人の間に横たわる深い溝こそが、創作と共感の源泉だと思うのです。例えば、The Anniversaryのアルバムみたいに。 ■ The Anniversary / Your Majesty EMOとカテゴライズされるバンドのなかには、パンクと近い勢いのある曲をメインにするバンドも多いのですが、The Anniversaryは、ミドルテンポの曲に切ない男女Voのメロディが乗る、冒頭に書いた喪失感、断絶感をとても強く感じさせる、EMOど真ん中なバンドです。 特にキーボードを兼ねる女の子のVoハーモニーがとにかく切なくて良くて、なんかもう、Shadow in youthとしか形容できない切なさ。 例えば、恋愛の過程でネガティブな出来事が起こった時。 誰もが感じる、言葉にできない「あの感じ」が、このアルバムではメロディとなって歌われているというか。 バンドは残念なことにこの「Your Majesty」を2001年に発表後、解散をしてしまったのですが、今もし再結成をしてアルバムを作ったとしても、同じような喪失感ややりきれなさを楽曲に込めることはできないと思います。それだけこのアルバムには、人生のある一時期しか持てない感情と瞬間が詰まった、EMOの名盤です。 今回のエントリーを書くために改めて調べてみたりしたのですが、発売当時に購入して、いつも聴き続けてきたアルバムなので、もう8年も経っていたのかと驚きました。 と同時に、8年聴き続けても摩耗しないメロディの力を再認識した気がします。個人的には、歴史に残るべき名盤として猛烈にプッシュしたい1枚。 #
by zakiryo
| 2009-04-05 19:30
| EMO
2009年 03月 29日
50歳を超えてガンを発症と聞けば、思わず沈痛な面持ちで「そうですか…」と言葉を濁す、重苦しい出来事だと思うのですが、世界は広いものでメロイックサイン片手にエア・ギターを繰り出す、「あんた、ホントにガンなの?」と聞きたくなるおっさんもいるのです。 ということで、今日はそんな不死身のおっさんことChuck Billy率いるTestamentをピックアップしたいと思います。 ■ Testament / The Legacy このバンドもスタートは古く、1stの「The Legacy」は1987年発表です。所謂「スラッシュ四天王」に名を連ねることはできませんでしたが、それに比肩する力量を持った、メタルファンにはベイエリア・スラッシュの代表格としてお馴染みのバンドですね。 でも今振り返って考えれば、80年代に「スラッシュ四天王」と呼ばれたバンドのうち、MetallicaとMegadethは音楽性をふらふらと変えながら今に至っているし(どっちも好きだけど)、Anthraxに至っては今何してるの?だし。 スラッシュと言える音楽性を貫いているのって、SlayerとこのTestamentだけですよね。いい加減(せめて)Anthraxとは入れ替えしてあげて欲しいわ。 で、Testamentが素晴らしいのって、時系列で見た時の一貫性ってのもあるけれど、メタルとしての突貫力と様式が楽曲の中で両立してる、ってのが個人的には大きなポイントだと思っています。もちろん、そのなかでデス声での咆哮も良し、朗々とメロディを歌い上げても良し、のChuckの幅広いボーカルは不可欠な要素。 そういった意味で、1stの冒頭を飾る「Over the Wall」は、Testamentとは何ぞや?を凝縮したスラッシュ史に残る名曲だと思います。 こちらのライブ映像で、そんな名曲をChuck Billyさんの激しいエア・ギターとともにお楽しみください。 いやー。マジでカッコよすぎる。ツインリードの件とか、ドラム含め「これぞメタル!!」ですよね。技術があるからこそ作りだせる興奮って素晴らしい。(いや、でもこのドラム本当にすげーな…。John Tempesta?) Testamentは、Chuckのガンを乗り越え、現在もこんな調子で活動を続けていて、去年は「The Formation of Damnation」という、どこを切ってもTestamentなナイスアルバムを発表しました。 北海道に移住してからメタルとはかなり縁遠い生活を送るようになってしまいましたが、昔聴いていたバンドには思い入れもあるし、変わらずに良いアルバムを作り続けてもらいたいですね。Chuckにも死ぬまでエア・ギター続けて欲しい。 #
by zakiryo
| 2009-03-29 19:24
| HM / HR
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