2009年 05月 18日
人であれば誰しも「何をやっても上手くいかない」時期というのがあるかと思います。で、そんな辛い時期をどうやって乗り越えるのかは、人生をやりくりしていく上で最も重要なことかもしれません。 旅に出たり、友人や恋人と過ごしたり、買い物に行ったり。人によって、その乗り越える・やり過ごすための方法は違うと思うのですが、僕の場合は、こんな音楽をお供に内省の旅路を行きます。 ■ ISIS / Oceanic ISISは、アメリカ出身のポストロック~スラッジバンドで、今回ピックアップするOceanicは2002年発表の2ndです。 前回のtoeと同じ、基本的には歌を伴わないポストロックスタイルとは言え、ベースにあるのはメタル~ハードコアのへヴィネスだし、これといってキャッチーなメロディがあるわけでもないので、ポストロックのなかでもより敷居の高い音だと思います。 僕にとっても気軽に毎日聴くようなアルバムではないのですが、ただ、冒頭に書いたような辛い時期に聴くと、この音が物凄く嵌る。 楽曲やメロディのポピュラリティって、いわば他人との共感や繋がりを求めるがこその要素だと思うのですが、ISISの場合、その他人との共感を徹底的に排除して、ひたすら自己との対峙に没入するような音なんですよね。 他人からどんな批判を浴びようと、どんなに結果が出ないとしても、自分で自分自身の行為を肯定できるのであれば、いかに辛い状況であろうと自分を支えていけると僕は思っています。 つまり、辛い状況だからこそ、内を省みて、自己の批判に耐えうる行為を積み重ねなければいけないのだと。 ISISのアルバムを聴いて、ISISと聴き手の間に共感や繋がりは生まれないと思います。ベン図で表せば、2つの円が重なる領域は生まれないといいますか。 ただ、共感はなくとも、苦境に佇むそれぞれの円に内なる強さを与えてくれる、海原に射す光芒のような稀有なアルバム。名盤です。
by zakiryo
| 2009-05-18 01:25
| Post Rock
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