2020年 12月 31日
例年同様、「今年、私が聴いた」というの基準でアルバムBest5を書いていきます。 最後に取り上げるアルバム以外は順不同です。 ■Iapetus / The Body Cosmic 今年のBandcamp枠。NY出身のブラックメタルバンドなんですけど、こういうの何て言うんだろ?プログレッシブでアトモスフェリックな楽曲を物凄いテクニックで再現してて…ポスト・ブラックメタルとかかな?? んで、このバンドの特筆すべき点は、そのなかでも楽曲の構成力だと思います。10分・14分・13分・18分という長尺の曲でも全く飽きさせない展開・構成があって、集中力が欠如しがちな中年メタラーでも楽しんで聴くことができます。 Youtubeの埋め込みが1つしか貼れない仕様になってしまったので、代わりにBandcampのリンクを。 1曲目のタイトルトラックが特に素晴らしく、6分15秒過ぎからの展開がアツすぎる!!! 高い演奏技術と複雑かつ魅力的な楽曲構成が合わさって初めて生まれる興奮を前に、これこそ現代芸術の最高峰だろ、って本気で思います。 褒めても褒めても褒め足りない、才能溢れる大傑作。 あと数年前にも書きましたけど、ブラックメタルの発展性って本当にすごいですよね。仲間内で殺し合ったり教会燃やしたりしてたアンダーグラウンドなサブジャンルが、世界中のクリエイティビティの触媒となって花開いていくなんて。ユーロニモスも喜んでいるに違いない…。 ■Dizzy Mizz Lizzy / Alter Echo 再結成後の2枚目。 このアルバム発表後、Tim ChristensenがFBで「Alter Echo制作時に影響を受けたアルバム20枚」みたいな企画をやっていて、KatatoniaとかYOBとか挙げてたんですよね。「ワシらと同じただのメタラーやんけ!」ってなるし、そりゃアルバムもこうなるよねっていう、Dizzy Mizz Lizzy流のポストメタル。 正直、曲単位で聴くとどれもイマイチです。でも、アルバムを通して聴くとめちゃくちゃ魅力が溢れてる。 特にB面の組曲Ameliaが素晴らしくて、All Saints Are Sinnersがアルバムのクライマックスでありましょう。(この曲は動画がないので代わりにIn The Bloodを貼ります) あとこれは若干の反則感がありますが、日本盤ボーナストラックのMadnessが楽曲としては一番良いので、購入するなら日本盤をお勧めします。 ■DMA's / For Now オーストラリア出身バンドの2枚目かつ今年の黄昏枠。 洋楽リスナー100人いたら100人とも「これOasisやんw」ってなる、清々しいまでのジェネリックOasisっぷり。 ただ、これは誉め言葉として書いています。もう本家Oasisはいないので、誰かがあの魅力を引き継いでくれる方がリスナーにとって良いことだし、ここまで聴き手の感情を動かすことが出来るのは否定しようのない才能とも感じます。 夕陽射す中、もう戻ってはこない日々を思い返すとか、そんな感じの感傷的なアルバム。 ■LostAlone / I'm UFO in this City イギリス出身のロック/メタルバンドの2枚目。 今年も安いCDを漁っては買いまくるというストレス解消法に勤しみまして、このアルバムも中古が安かったので拾ってみました。 駿河屋で200円っていう一番安い価格帯で、届いたら何故か未開封の新品。2020年の日本では、こんな扱いのバンド/アルバムということなんでしょう。私もこれまで知らないバンドでしたし。 でもアルバムの内容は素晴らしくて、1曲目「Obey the Rules You Lose」冒頭のアレンジを聴くだけで非凡な力量・才能を持つバンドであることが分かります。ギターがピロピロしてるのもメタラー的に印象度◎。制作にGerard Wayが関わっていたみたいだけど、スタイルとして近いのは、そのMy Chemical Romanceかもしれないです。 Jacknife Leeがプロデュースしたり、K!とか海外専門誌で絶賛されたり、アルバム発表当時は有望だったみたいですね。 バンドは14年に3rd発表後、解散しちゃったみたいだけど復活しないかな。 ■Falling Up / Falling Up アメリカ出身のオルタナティブ/クリスチャンロックバンドの最終作かつ、個人的な今年のベストアルバム。 2011年の年間ベストでFangsを選んだ際、レーベルとの契約を失ったバンドの先行きを心配していましたが、やはりその後の道のりは厳しかったようです。途中バンド活動の休止を挟みつつ、Kickstarterで制作費用を調達しながら最後に制作したのが、このセルフタイトル作。 初期のアルバムにあったLinkin Parkフォロワー色は完全に無くなり、宗教と内省に根付く地味な内容ではあります。そして、それが今年の自分には救いになった。今年は1年を通してやり切れない時間が多くて、しょっちゅうこのアルバムを聴いていた気がします。 美麗なカバーアート含め、バンドは見事な掉尾を飾ったと感じます。 **** このFalling Upのアルバムが本当に良くて、一度アルバム単体で記事を書こうと思ったんですよね。でも、なーんも言葉が浮かんで来ませんでした。もちろん「良いアルバムですよ」ってのは書けるけど、自分の日常や思考との関係性みたいなものは何も言葉として出てこない。 Falling UpのVoがGloomcatcherっていうプロジェクトをやっていて、Bandcampのアルバム紹介欄に「About life, love, heartache, and my children.」ってあるんですけど、今の僕にheartacheだけはあるけど45歳の中年男性がそれを書いてもみっともないだけだし、その他にはもう何もない。個人で続けてきたECサイトを終えて、やるべきをやり、為すべきを為したという思いしかない。なんかもう人生が消化試合みたいになってしまったというか。 おしまい。
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by zakiryo
| 2020-12-31 21:55
| 雑記
2020年 10月 07日
今日は代休だったので、以前同僚の女の子に教えてもらった夕焼けポイントに行って写真を撮ってきました。日没を見届けた後、宗谷牛ステーキのお店へ。サーロインセット7,000円! 美味しい・美味しくない、というよりも、ただひたすらに脂がキツかった。己の加齢を胸焼けで痛感。 ***** 前回更新してからちょうど3ヶ月。その間、本当に色々なことがありました。未だに寂寥感に慣れないけれど、あとは時間が過ぎ去るのを待つしかない。 #
by zakiryo
| 2020-10-07 21:32
| 雑記
2020年 07月 07日
久しぶりの好天の休日だったので、新しい町に引っ越してから初めてカメラを抱えて外出してきました。
8か月経っても新しい町には馴染めない。というか好きになれない。けどやっぱ写真を撮るのは楽しいな、と思う週末でした。 #
by zakiryo
| 2020-07-07 22:50
| 雑記
2019年 12月 31日
去年は(ただ単に面倒だったため)お休みしましたが、今年は聴いたアルバムベスト5を書きます! 例年通り「今年私が聴いた」という括りでの選出になっています。 ■マクロス MACROSS 82-99 / A Million Miles Away 更新をさぼった去年のベストアルバムがこれ。メキシコ在住の若者の名義のようです。 名前にある「マクロス」は日本のアニメから引用されていて、楽曲内ではVaporwaveっぽいサンプリングの使い方も散見されます。 80年代をリアルタイムで過ごしてきた人間からするとVaporwaveって理解し難いものではあるのですが、このマクロス MACROSS 82-99はサンプリングの使い方が非常にスマートかつおしゃれ。そりゃBandcampのトップセラー常連にもなるわな、という完成度の高さがあります。 因みにBandcampでは1ドルでアルバムがDL出来るのでぜひどうぞ。https://macross82-99.bandcamp.com/album/a-million-miles-away ■P.O.D / Murdered Love 90年代から活動を続けるラップ/オルタナメタルバンドの8枚目。中古で購入して今頃になって聴きました。 このバンドのアルバムを久しぶりに聴きましたけど、ヒット作「Satellite」の頃から何も変わってない。でも、曲のクオリティはめっちゃ良い。っていう感じですね。ベタな表現ですけど我々おっさん世代にとっては生まれ育った実家のような安心感。 動画はミクスチャバンドの面目躍如的なこの曲を選びましたが、アルバム全体的にどの曲も良いです。 しかしさっき挙げた「Satellite」は2001年発表で、もうすぐ20年ですよ。いつの間にそんな時間が経ったんや…ってなる。 ■Skyharbor / Guiding Lights メタルシーンでは珍しいインド出身のDjent/プログメタルバンドの2nd。 変拍子を多用しつつアルペジオでポスト感を演出しました~(エモいノーマルVoを添えて) っていう、Sumerian系という表現でおおよその説明が出来てしまう類型化されたスタイルではあります。 ただ、このバンドはノーマルVoメロディが「ちょっとナルシスト過ぎない?大丈夫?」ってぐらい情感豊か。ここが大きな特徴になっているように思います。動画を貼ったタイトルトラックとか A Perfect Circleに近い印象の曲もあったりで、メタルだけでなくオルタナティブロックファンにも訴求しうるバンド/アルバムです。 10年の区切りを前に振り返れば、こういうスタイルが2010年代のメタルだったようにも感じますね。 ■Crystal Castles / Amnesty(I) カナダ出身のエレクトロバンドが女性Voを変えて発表した4th。 11曲目「Kept」みたいなフロア向けの曲もあるけど、そればかりを期待すると確実に肩透かしを喰らうと思います。 本作が主に描くのは、繊細で内省的な心情風景です。ハードコア・レイブと形容したくなる下品な装飾も、その繊細さを強調するための演出ではないかと感じます。厭世的な独特な世界観が作られていてそれがとても好き。 動画は10曲目「Ornament」を貼ります。ファンメイドの動画らしく、上手く世界観を捉えてる。 ■M83 / Junk フランス出身のエレクトロポップ・バンド/ユニットの7枚目。 以前「You & the Nigh」っていうサントラ扱いのアルバムを聴いたら思いの外に内容が素晴らしく、それ以降チマチマとこのバンドのカタログを集めてきました。 エレクトロ~という紹介が必ずされるバンドだけど、個人的にはEMOロックに近い印象を持っています。溢れ出るセンチメンタリズム、ロマンチシズムに歌心。これをEMOと言わずして何と言えましょう。 JunkはWordで作ったみたいな安っぽいタイトルにムックのパチもんみたいな化け物が映るダサいジャケットですが、内容はバンド史上最高に素晴らしいです。 特に1~3曲目までがいずれも名曲。2曲目のGo!と3曲目のWalkway Bluesの動画を貼りますが、2曲目の終盤で鬼気迫るギターソロを弾いているのは、なんとSteve Vaiであります。 今年聴いたなかでは、これがベストアルバムです。 ********* 個人的な出来事で言えば、2008年から11年続けてきた個人事業を辞めて会社員に戻るという、大きな区切りの1年になりました。 11年の間に色々なことがあったけど、全てはなるべくしてそうなったのだと思います。そうやって「仕方がない」とやり過ごすことだけは上手くなった。 #
by zakiryo
| 2019-12-31 17:36
| 雑記
2017年 12月 31日
諸事情でだいぶ遅い更新になりましたが「今年、私が聴いた」という例年同様の基準でアルバムBest5を書きます! そして2017年は良いと思えるアルバムがたくさんありました!俺の感受性は死んでなんてなかったんや!エモーション イズ ネバアアーーダアアイッッ! ■While She Sleeps / You Are We 1枚目はイギリス出身のメタルコアバンドWhile She Sleepsの「You Are We」です。 このバンドの特徴は、配分が多くて滅茶苦茶アツいコーラスパートでありましょう。スタイルとしてはAlexisonfireに近い。 メタルコアはとにかく差別化が難しくて「ダルいリフ弾いてブレイクダウンしてるだけやろが!!」みたいなバンドも腐るほどおりますけれども、While She Sleepsは一聴して確実に耳を捉える特徴と魅力があると思います。こういう何かを乗り越えるための力や強さを与えてくれる音楽というのはホントに素晴らしい、と40歳を超えた今なお素直に思わせてくれる有難さよ。 因みに動画を貼った曲ではBring Me the Horizonのボーカルがゲスト参加してるけど、曲の出来とバンドメンバーのコーラスが優秀過ぎて別にこれゲストいらんかったのでは。 あとAlexisonfireは再結成したなら早くアルバム作ってくれー。 ■Arctic Monkeys / AM 2枚目はArctic Monkeysの現時点での最新作「AM」です。 このバンドのアルバムだとパンキッシュな曲で畳みかける1stが一番好きで、以降アルバムを追うごとに曲が遅くなってその魅力を失っていったように感じておりました。 しかし!このAMは1st以降で目指していた方向がついに結実した、退廃的でニヒリスティックな空気と魅力が詰まった傑作です。 ロキノン等の音楽雑誌で「セクシーさが~」といった表現をたまに目にしますが、個人的にはこれさっぱり理解できなかったんですよね。何やねんセクシーって、と。ただ、このアルバムを指してセクシーと言うのならば私にも分かる。 興奮や力強さを与えてくれる訳でも哀愁や内省を与えてくれる訳でもない、日常や感情ではなく美学みたいなものに根差し、そして音楽での表現を目指した珍しいベクトルのアルバムだと思います。 ■Petal / Shame 3枚目は今年の「夕焼け黄昏枠」としてPetalのデビューアルバム「Shame」です。 拙い演奏に女性Voが載る、何の変哲もないよくあるEmoバンドでアルバムもそんな絶賛するような出来ではないのですが、動画の曲はめっちゃ好き。この曲があるから選出をしました。 2018年もきっと同じように何の変哲もないEmoバンドのアルバムを聴きつつ、翌月には忘れてしまうような事象でいちいち苦悩するんだろうけど、結局のところ私にとってはそれが身の丈にあった「生きる」ということなんだな、とも感じます。 Arctic Monkeysとは正反対に、日常と感情に根差した普遍的な良さがあるアルバムです。 ■Slash / World on Fire 4枚目はSlashの現時点での最新作「World on Fire」です。 Use Your IllusionからリアルタイムでSlashの音源聴いてきておりますけれど、ほんとこの人は安定していい曲・いいアルバムを出しますよね。現役感がいつになっても色褪せない。 World on Fireも安心の出来栄え、っつーかキャリアの中でも1、2を争う良いアルバムだと思います。 Slashって今何歳なんだろう、と思ってwikiみたら「歴史上最も偉大な100人のギタリスト」の65位ってあったけど、個人的には5本の指に入るギターヒーローだわ。(因みに年齢は52歳だそうです) ■Into Eternity / Buried In Oblivion そして最後に挙げるのが今年一番印象に残ったアルバムInto Eternityの「Buried In Oblivion」です。 2004年発表のアルバムなんで果てしない今更感がありますが、これとんでもなく素晴らしくないですか?たまたまアマゾンのバーゲンコーナーで見つけて試聴してみたらあまりの出来でたまげてしまった。 動画を貼ったアルバムラストの2曲を聴いてもらえば分かる通り、卓越した演奏技術に伸びのあるボーカル、そしてプログレッシブな曲展開と、もうこれImages and Wordsに匹敵するでしょ、ってぐらい凄い。世が世ならテクデス/Djentの源流として大きな名声を得ていても不思議ではないクオリティだけど、そこまで有名って訳でもないですよね?何故?私が知らなかっただけなんか…。 10年以上前のアルバムだけど、テクデスを熱心に聴いている方にぜひお試し頂きたい大傑作です。 ****** あと2017年は、音楽を楽しむコツは「フィジカルを買う」ことにあると完全に悟りました。 いや正確に言うと「お金・予算」という制約が重要で、手持ちの予算でどのアルバム買おう、と悩んだりお得なCD探したりってのがまず楽しいし、その制約があるから何度も繰り返し聴いてそのアルバムに愛着も湧く。アナログのエサ箱漁ってる人たちだって、あれ宝探しみたいなもんで変な脳内快感物質ドバドバ出てるでしょ。 どこまでを「音楽を楽しむ」定義に含めるかってのもありますが、私個人の経験で言えばサブスクは音楽を聴くこと自体が楽しくなくなってしまいました。フィジカルの購買とセットで音楽に接してきたおっさん世代としては、老害だ時代遅れだと馬鹿にされてもいいから、もうこのスタイルで行こうと思う1年でありました。 そしてこれは私自身が(商材は異なりますが)零細小売をしているので完全にポジショントークと自覚して書きますが、サブスクが栄えたとしても利益はアップルとかグーグルとかSpotifyとかごく少数のグローバル企業に集約されるだけなので、それよりももっと広い裾野で、大小様々な会社や個人が音楽に関わる形でご飯が食べられるようになる方がいいな、とも思います。 特に小売りは「無駄な中間搾取だ!女衒だ死ね!アーチストとリスナーが直接繋がればいい!」などなど散々なことを言われがちなポジションですけど、40歳を超えて気軽に人生の方向転換が出来ない立場になると、それでご飯が食べられる人もいるんだからいいじゃない、と思うようにもなりますし、音楽で言えば小売店が色々と情報提供をしてくれたり、ひとつの文化みたいなものを作ってきた面もありましょう。フィジカルを買うことで自分も楽しいし、市井の人々の生活の糧にも繋がるなんていい話じゃないですか(AxCx感)。 と、このようなロジックをもって2018年も音源購入という無駄遣いを正当化しつつ、音楽を楽しんでいきたいと思う次第です。
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by zakiryo
| 2017-12-31 21:09
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