Tidal Wave

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2009年 04月 05日

The Anniversary / Your Majesty

人々は、喪失や断絶にこそ集う。
多くの人が思春期に知る、人と人の間に横たわる深い溝こそが、創作と共感の源泉だと思うのです。例えば、The Anniversaryのアルバムみたいに。

■ The Anniversary / Your Majesty

b0166043_19252183.jpgEMOとカテゴライズされるバンドのなかには、パンクと近い勢いのある曲をメインにするバンドも多いのですが、The Anniversaryは、ミドルテンポの曲に切ない男女Voのメロディが乗る、冒頭に書いた喪失感、断絶感をとても強く感じさせる、EMOど真ん中なバンドです。
特にキーボードを兼ねる女の子のVoハーモニーがとにかく切なくて良くて、なんかもう、Shadow in youthとしか形容できない切なさ。

例えば、恋愛の過程でネガティブな出来事が起こった時。
誰もが感じる、言葉にできない「あの感じ」が、このアルバムではメロディとなって歌われているというか。

バンドは残念なことにこの「Your Majesty」を2001年に発表後、解散をしてしまったのですが、今もし再結成をしてアルバムを作ったとしても、同じような喪失感ややりきれなさを楽曲に込めることはできないと思います。それだけこのアルバムには、人生のある一時期しか持てない感情と瞬間が詰まった、EMOの名盤です。



今回のエントリーを書くために改めて調べてみたりしたのですが、発売当時に購入して、いつも聴き続けてきたアルバムなので、もう8年も経っていたのかと驚きました。
と同時に、8年聴き続けても摩耗しないメロディの力を再認識した気がします。個人的には、歴史に残るべき名盤として猛烈にプッシュしたい1枚。
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# by zakiryo | 2009-04-05 19:30 | EMO
2009年 03月 29日

Testament / The Legacy

50歳を超えてガンを発症と聞けば、思わず沈痛な面持ちで「そうですか…」と言葉を濁す、重苦しい出来事だと思うのですが、世界は広いものでメロイックサイン片手にエア・ギターを繰り出す、「あんた、ホントにガンなの?」と聞きたくなるおっさんもいるのです。

ということで、今日はそんな不死身のおっさんことChuck Billy率いるTestamentをピックアップしたいと思います。

■ Testament / The Legacy

b0166043_1918363.jpgこのバンドもスタートは古く、1stの「The Legacy」は1987年発表です。所謂「スラッシュ四天王」に名を連ねることはできませんでしたが、それに比肩する力量を持った、メタルファンにはベイエリア・スラッシュの代表格としてお馴染みのバンドですね。

でも今振り返って考えれば、80年代に「スラッシュ四天王」と呼ばれたバンドのうち、MetallicaとMegadethは音楽性をふらふらと変えながら今に至っているし(どっちも好きだけど)、Anthraxに至っては今何してるの?だし。
スラッシュと言える音楽性を貫いているのって、SlayerとこのTestamentだけですよね。いい加減(せめて)Anthraxとは入れ替えしてあげて欲しいわ。

で、Testamentが素晴らしいのって、時系列で見た時の一貫性ってのもあるけれど、メタルとしての突貫力と様式が楽曲の中で両立してる、ってのが個人的には大きなポイントだと思っています。もちろん、そのなかでデス声での咆哮も良し、朗々とメロディを歌い上げても良し、のChuckの幅広いボーカルは不可欠な要素。
そういった意味で、1stの冒頭を飾る「Over the Wall」は、Testamentとは何ぞや?を凝縮したスラッシュ史に残る名曲だと思います。

こちらのライブ映像で、そんな名曲をChuck Billyさんの激しいエア・ギターとともにお楽しみください。




いやー。マジでカッコよすぎる。ツインリードの件とか、ドラム含め「これぞメタル!!」ですよね。技術があるからこそ作りだせる興奮って素晴らしい。(いや、でもこのドラム本当にすげーな…。John Tempesta?)

Testamentは、Chuckのガンを乗り越え、現在もこんな調子で活動を続けていて、去年は「The Formation of Damnation」という、どこを切ってもTestamentなナイスアルバムを発表しました。

北海道に移住してからメタルとはかなり縁遠い生活を送るようになってしまいましたが、昔聴いていたバンドには思い入れもあるし、変わらずに良いアルバムを作り続けてもらいたいですね。Chuckにも死ぬまでエア・ギター続けて欲しい。
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# by zakiryo | 2009-03-29 19:24 | HM / HR
2009年 03月 22日

Rory Gallagher / BBC Sessions

いきなりのどーでもいい情報なのですが、僕は1975年生まれの33歳です。
75年でも今からもう30年以上も前のことですから、経過した時間を科学技術の進歩で図れば「だいぶ古臭い時代だよなあ」とも思いますが、ことロックに関して言えば古臭いどころか、現在のチャートを賑わす楽曲よりもカッコ良かったりして普通に驚きます。僕が生まれる前に、すでにこんなカッコいい曲が作られていたのかと。

Jimi Hendrix、Black Sabbath、Grand Funk Railroadなどなど、70年代ロックを代表するアーチスト・バンドはたくさんいますが、そのなかでも僕が特に好きなのがRory Gallagherです。

■ Rory Gallagher / BBC Sessions

b0166043_7571439.jpgRory Gallagherは、Tasteというバンドから71年にソロデビューして95年に他界するまで、塗装が剥げたボロボロのストラトキャスターでブルースロックを演奏し続けた、先述のバンド等に比べれば少し地味だけど、カッコいいギタリストです。

僕は、その95年の他界を契機に発表されたリマスター盤を聴いてRory Gallagherを初めて知ったので、リアルタイムで活動を追うことも、彼の死を悲しむこともなかったのですが、最初に手に取ったアルバムを聴いて以降、すぐにバックカタログを揃えてました。
見た目に頓着せず、ボロボロのストラトに音楽への情熱を込めるRory Gallagherのギターは、とにかくカッコよかった。



このライブ映像は、71年のものだそうです。
最初に書いた通り、テクノロジーで言えば明らかに現在に劣る環境だったが故に、この時代のロックには、なんというか、剥き出しでフィジカルな緊張感がギチギチに詰まっているような気がします。(そしてそれこそが音楽の「核」だとも思うのですが)

そして30年以上の時間を経てもなお、遠く知らない土地の青年の心を打つような、時間を超える普遍的な魅力を作り出していることに憧れも覚えます。
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# by zakiryo | 2009-03-22 07:59 | 70s / Stoner
2009年 03月 20日

Mogwai / Happy Songs for Happy People

音楽を楽しむにあたって、「歌」は大きな要素です。

カラオケなんて行ったら、それこそ歌メロがほぼ100%と言っても過言ではない訳ですし、もちろん「詞」によって揺さぶられる感情もあります。
繰り返しですが、音楽にとって「歌」というのは、本当に大きな要素です。

にも関わらず、いつしか歌のない「ポストロック」と呼ばれる音楽を聴いて、歌が載る音楽以上に深く感動している自分がいました。正確には、歌がないからこそ得られる感動を知覚できるようになった、というか。

Mogwai / Happy Songs for Happy People

b0166043_15314174.jpgポストロックと呼ばれるジャンルのなかでも、特に「轟音+美メロ」という公式を確立させたMogwaiは、まさに第一人者というべきバンド。

僕は、4th「Happy Songs for Happy People」からリアルタイムで聴きだしたので、思い入れもこのアルバムに一番強く持っています。(全体的な楽曲の出来から言えば、次の「Mr.Beast」ですが)

と、「轟音+美メロ」と説明を書いておきながら全く「轟音炸裂!」という感じではないので、Mogwaiをネタに書くエントリーに相応しい曲ではないのですが、ただ単純に「僕が好き」ということでこの曲を。




なんとも救いのない内容のビデオですが、実のところ僕らが暮らす世界だって同じようなもんなんですよね。

Mogwai含め、ポストロック勢が奏でる音には、ポジティブとかネガティブとか、人がまず下す皮相的な価値判断が一切ない、と僕は思っています。そして、だからこそ良いんだと思うのです。主観を越えて「ただ在る」ことと、ときに残酷なまでの事実と誠実に対峙しろ、と。

「Travel is Dangerous」とか適当な曲名が多いMogwaiですが、「Happy Songs for Happy People」というのは結構本気で付けたタイトルなんじゃないかと思わせる、「ただ在る」事実と対峙する人々に向けた、幸福な1枚。
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# by zakiryo | 2009-03-20 15:35 | Post Rock
2009年 03月 18日

Paradise Lost / Icon

非地元の大学を受験した人にとって、恐らく共通に思い出深い時間なのが「試験前日の夜」ではないでしょうか。
18~19歳の学生にとって、希望する大学に入れるかどうかはその後の人生を左右する大きな岐路。
馴染みのない土地のホテルで、この先の人生を賭ける!的な過分な意気込みで勉強したり思いを巡らしたり。きっとみんなそんな時間を過ごしたのかなあ、と。

で、東京から一人岡山のホテルに着いた僕が受験前日に何をしていたかと言いますと、↓こんなアルバムを聴いていました。

■ Paradise Lost / Icon

b0166043_237882.jpg1993年発表の4thアルバム。テンポの遅い楽曲に流麗で悲壮感のあるメロディを載せた「ゴシック・メタル」とというカテゴリを確立させたバンドであり、アルバムだと思います。メタル専門誌「Burrn!」では、よく「耽美的」っていう形容詞が使われるようになりましたね。(っていうかB!以外で「耽美的」なんて目にしたことないけど)

単純にアルバムの出来だけを比べれば、次の「Draconian Times」に軍配が上がりますが、ヨーロッパを中心としたシーンや、そして僕個人にとっても、与えたインパクトとしてはこの「Icon」のがデカかったと思います。

そしてこのアルバムで最も思い出に残る曲が「True Belief」です。直訳すれば「確固たる信念」とかでしょうか。

デロデロとした曲調のなか、薄汚く言葉を吐き捨てていくボーカルが「True Belief」と歌い上げる様は、人生を賭けた試験前夜の僕を高揚させるに十分でした。



このバンドのギターチームは本当にカッコいい。

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この曲のお陰もあってか、無事に大学に合格することができ、以降岡山でゴシックやデスメタルまみれの学生生活を送ることになりました。

と、同時に「確固たる信念」を胸に大学受験という困難を突破したことから、やっぱ信念は大事だ、信念を曲げちゃいけない的な暑苦しさをより深める契機ともなった気がします。(今振り返れば、それもまた健全な一つの過程であったようにも思うのですが)
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# by zakiryo | 2009-03-18 02:51 | Death / Gothic